ちょっと古いんですが、最近になって伝説のカルト映画『バーディ(Birdy)』を視聴しました。
映画が公開されたのは1984年なので、ニコラス・ケイジとマシュー・モディーンはとても若いです。
若い頃からマシュー・モディーンとニコラス・ケイジは、とても魅力的な俳優だったんだな、と再認識しました。
なかなか良かったので、若干のネタバレありで、感想・解説などを垂れ流したいと思います。
にしても、今更『バーディ』なんて、本当マニアックですねえ。
でも、この昔の雰囲気の映画を観ると、ぼくなんか、本当安心するんだ。。。
お茶をすすりながら、今にもすり切れそうなVHSや映像が飛びそうなDVDで流してると、ノスタルジックな気持ちになって、幸福感があるんですね。
『バーディ』は、『バーディ』だけにバディものの映画です(笑)
何というか、ベトナム戦争映画には、『ディア・ハンター』や『ホワイト・バッジ』など、男と男の友情や絆を描いた映画が多い気がします。
もしかすると、ベトナム戦争映画という映画ジャンルは、ブラザーロマンス(ブロマンス)と相性がいいのかもしれないですね。
BL要素が入った映画が好きな人も結構気に入ると思います(笑)
映画タイトル | バーディ |
原題 | Birdy |
制作国 | アメリカ合衆国 |
公開年 | 1984年 |
監督 | アラン・パーカー |
原作 | ウィリアム・ワートン(ウィリアム・ウォートン) |
脚本 | サンディ・クルーフ ジャック・ベアー |
音楽 | ピーター・ガブリエル |
主なキャスト (特別完全版の吹き替え) |
マシュー・モディーン ニコラス・ケイジ ジョン・ハーキンス サンディ・バロン カレン・ヤング ブルーノ・カービイ etc. |
描かれる 年代と舞台 |
ベトナム戦争帰還後 精神病棟が舞台 |
人気・注目度 GKV (2020年10月時点) |
★★ 『バーディ映画』480 『映画バーディ』70 『Birdy映画』40 『バーディ』9900 (ただし、『バーディ』単品の場合、検索上位に表示されるページはゴルフ用語の説明サイトが多いです。 そのため、検索者で、映画バーディを知る意図を持つ人たちは少ないと判断しました。) |
視聴できるVOD (2021年5月時点) |
Amazonプライム・ビデオ |
バーディは、今はもう、入手がちょっと難しくて、普通のVODじゃ観るのが難しいですね。
ぼくは、Amazonプライムで視聴しました。
U-NEXTとかNetflixとかも、こういう昔のコンテンツを増やして見られるようにして欲しい。
新しいのばかりじゃなくて、昔の映画やドラマを振り返りたい人だっているんです…!
動画配信 サービス名 | 視聴方法 | 無料期間 |
・動画 | 30日間無料! |
映画バーディのあらすじをネタバレありで解説
さて、では、映画バーディを若干のネタバレありで解説します。
『バーディ』は、ベトナム戦争帰還兵の物語です。
ベトナム帰還兵の物語といえば、『ランボー』や『ローリング・サンダー』、『エクスタミネーター』、『ソルジャー・ボーイ』などが挙げられますね。
でも、そんなベトナム帰還兵映画の系譜に連なるこの映画は、ちょっと他の映画と違っています。
どんな風に違うのかというと、主人公の一人であるバーディ(マシュー・モディーン)が一味も二味も違う男の子なんです(笑)
バーディは、とても変わった青年です。
まず、バーディは鳥が三度の飯よりも大好き。
それだけでなく、鳥になりたい、鳥を性の対象とすら見ています。
伝書バトを沢山育てるため
ハトコスプレをするバーディ
(出典:『バーディ』より)
そんなかれは、純真で真っすぐな人間ではありますが、同年代の女の子にも全く興味がなく、変わり者であるため周囲と上手くなじむことができません。
バーディを演じるマシュー・モディーンは、ある種のイノセンスを持つ不思議な男の子の役を演じるのが上手いです。
バーディは変人だけれど、なんかカワイイところがある
(出典:『バーディ』より)
『バーディ』以外でも、カナダ産のテレビ映画『アルジャーノンに花束を』(2000年)でも、知的障害を持ち、やがて天才へと変わるチャーリー・ゴードンの役を演じていました。
もしかしたら、マシュー・モディーン自身にも、同じように、どこか純粋な部分があるのかもしれませんね。
なんというか、こういう人にぼくは惹かれます。。。
ぼく自身が社会に上手く馴染めていない気がしているので、こういった自分の世界や価値観のなかで生きている人の出てくる物語を探してしまうんですね。
一方、ニコラス・ケイジが演じるアルは、溌剌とした若者で、女の子にもきちんと興味があります。
ニコラス・ケイジは、近年、ぶっ飛んだ役柄が多いですが、ここでは溌剌としていて社交的な好青年を演じています。
1980年代のニコラス・ケイジ…!
若い!
え?あまり変わってないって?(笑)
(出典:『バーディ』より)
でも、単に溌剌としているだけでなく、その一方で、実はとても弱いところがある、という複雑さをきっちり表現しきっています。
このときから、ニコラス・ケイジの役者としての表現力はずば抜けているのが分かります。
で、そんなアルは、なぜか、変わり者のバーディを気に入って、一緒に行動するようになります。
一見すると、社会から浮いているバーディを、アルが周囲に馴染めるように橋渡ししているようにしか見えません。
でも、ちょっとネタバレすると、アルは家が貧しく、父親から暴力を振るわれても、何も言い返したりやり返したりできないという弱い一面も持っているんですね。
何も問題がないわけじゃないんです。
一方、バーディは変わり者ではあるけれど、アルの父親にすら真正面から意見を伝えることができます。
アルは、自分の心のままに振るまうことができるバーディに、どうしようもなく惹かれているのです。
やがて、バーディとアルは、お互い、ベトナム戦争に参加することになります。
そして、この戦争によって、親友だったバーディは精神に異常をきたし、軍の精神病院へ収監されてしまうのです。
一方、アルも顔面に大けがをし、別の病院で治療を受けていました。
アルはバーディのことを知り、かれの治療の協力をするようになるのです。
バーディに心を取り戻させようとするアル
(出典:『バーディ』より)
心を失ったバーディと顔を失ったアル。
二人のエピソードが治療の過程で語られ、そのすべてが語られつくされたとき、爽快感とブラックユーモアが入り混じったクライマックスへと突入します。
ニコラス・ケイジは、この映画で、顔を包帯でグルグル巻きにしたアルを演じるにあたって、奥歯を上下で2本ずつ抜き、更には、撮影前の4週間から顔に包帯を巻いていました。
ニコラス・ケイジのこういった徹底した役作りが、顔に包帯を巻いて表情が分からないにも関わらず、その演技や声に深いリアリティを与えているのかな、と思います。
映画のラストの、かれの絶望の嘆きに、ぼくは思わず涙ぐんでしまいました。
ベトナム戦争で受けた傷が、バーディとアルの生きる力を奪ってしまう
(出典:『バーディ』より)
映画の最初と最後とでは、二人の関係のパワーバランスが変化しているところも嬉しいどんでん返しだと思います。
『バーディ』は、ベトナム戦争帰還兵映画の優れた良作です。
ベトナム戦争の大味なアクションではなく、もっと繊細な物語。
凄惨な戦争で傷ついた若者たちの物語をユーモアを交えて描くのがバーディなのです。
ベトナム戦争映画のブロマンス映画は『ディア・ハンター』だけではないんだぜ!! と教えてくれる一品だと思います。
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【補足】
余談ですが、ベトナム戦争はBLと相性がいいと思います。
ベトナム戦争を舞台にしたBL漫画があるのなら、すごく見てみたいです。
傑作が生まれる。
そんな予感があります。
不謹慎な意味ではなく、本当にそう思います。
ハッピーエンドにはならない気はしますが……。
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